最も傾向が鮮明に表れたのは「施主経験の有無」
「法事離れ」が進んでいる。そう言われることは多いですが、その原因を単純に「人々が法事を大切に思わなくなったから」と片づけるのは正確ではありません。
今回の『法事に関する生活者の意識調査』において、最も傾向が鮮明に表れたのが『施主経験の有無』でした。そして、年代はその傾向を補強し、将来の方向性を示す視点として重要な手がかりとなりました。
法事を主催したことがある人は少数派

レポートの中でも特に象徴的なのが、「法事の施主経験」に関するデータです。
過去10年以内に、施主として法事を執り行ったり、実質的に支えたりした経験がある人は全体の3割にとどまりました。
「法事を主催したことがある人」は社会の少数派であり、将来的に法事の機会が減っていくと施主経験者の比率はさらに低下し、施主経験が希少化した時代になることが予想されます。
これからの法事は「ベテラン施主」ではなく「素人施主」が担う
これはかなり重大な変化です。
これまでお寺側には、家の中に法事に慣れた人がいて、施主的な役割が何となく受け継がれていくという前提があったかもしれません。しかし実際には、その前提自体が崩れつつあります。
これからの法事は、「慣れた役割」としてではなく、「不慣れな素人が、限られた経験の中で担う営み」になっていきます。
レポートでも、施主の約8割が何らかの実務的負担を感じていることが示されており、法事継続の鍵は「意味の説明」だけでなく、「実務不安の解消」にあることが見えてきます。
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菩提寺との関係継続も自明ではなくなっている
しかも、問題はそれだけではありません。
施主経験者を対象とした設問では、菩提寺以外の僧侶に依頼することに「抵抗がない」人が52.5%で、「抵抗がある」47.5%を上回りました。代々の関係や義理だけで、関係が自動的に続く時代ではなくなっているのです。

いま問われているのは、「付き合いがあるから選ばれる」のではなく、「納得できるから選ばれる」お寺であるかどうかです。
お寺に求められる役割は、儀式の執行者から“伴走者”へ
本レポートが示しているのは、法事の価値そのものの消失ではありません。
むしろ、法事の価値は感じられている一方で、それを支えてきた規範や慣習が弱まり、「選ばれる営み」へと移っている現実です。
勘や現場感覚だけでは、この変化は見誤ります。
いま必要なのは、「法事が減った」という現象論ではなく、なぜ減るのか、どこを変えれば継承できるのかという本質的な要因を、生活者の本音から構造的に捉えることです。
法事の価値が失われたのではない。いま問われているのは法事の再設計
本レポートでは、施主経験と年代のクロス分析を軸に、法事の継続を阻む要因、施主の不安、寺院に期待される役割、そして寺院がこれから再設計すべきポイントを構造的に整理しています。
法事を“何となく続けるもの”ではなく、“現代に合った形で再興するもの”として考えたいお寺の方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい内容です。
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