現代に伝わる法事のかたちを、ご一緒に - 法事再興ワークショップ開催に寄せて

井出 悦郎

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法事の価値そのものは、失われていない

お寺の未来が実施した「法事に関する生活者の意識調査」では、いくつかのことが確かめられました。
法事は依然として、故人を偲び、親族のつながりを再確認する機会として、法事に参列経験のある生活者には肯定的に受け止められています。

一方で、法事を支えてきた規範や慣習の力は、確実に弱まっています。法事は「やって当たり前のこと」から、「やるかどうかを選ぶ営み」へと、ゆっくりと位置づけを変えています。

つまりいま起きているのは、法事の価値が消えたことではなく、「価値の伝わり方と、営み方の前提が変わった」ということだと考えています。

ここを取り違えると、「最近の方は法事をされなくなった」という観察で止まってしまいます。
しかし、本当に必要なのは、施主やご家族がどこで迷い、どこでつまずき、どこで納得するのか、その実態を一つひとつ見つめ直すことです。そのような思いから、今回の法事再興ワークショップを企画しました。

法事は、お墓や葬儀と比べると、これまで体系的に手が入れられてこなかった領域でもあります。だからこそ逆に、いまから取り組むだけの伸びしろが残されています。法事が再びいきいきとした営みとして続いていけば、お寺だけでなく、仏具・供花・供物・会食・地域の会館といった供養文化を支える周辺の方々にとっても、確かな下支えになっていくはずです。

お寺にとって、法事は再設計の余地が大きい領域

葬儀は、すでに葬儀社との関係や役割分担のなかで営まれているお寺が多くあります。お墓も、永代供養や墓じまいを含めた再編が広く進んでいます。そうしたなかで、「法事は、お寺が自身の力を発揮できる余地を、まだ大きく残している領域」だと言えます。

法事は、儀式を超えて、故人をご縁として、ご家族が集い、気持ちを整え、家族の来歴を確かめ、お寺と継続的につながる接点にもなります。
法事がすべてを解決するわけではありませんが、家族のかたちが多様になっている時代だからこそ、故人をご縁として家族の関係性を結び直す場としての法事の役割は、静かに重みを増しているように感じています。

ワークショップで実際にやること

法事WS

今回のワークショップは、勉強会というより、「翌日から自坊の運営に直接落とし込める実践の場」として設計しています。

土台にするのは「法事に関する生活者の意識調査レポート」です。レポートは冒頭で一括して解説するのではなく、各プロセスで必要な箇所を都度参照いただきながら、自坊の打ち手に変換していきます。

午前は、施主・参列者の不安、法事の意義、寺院に期待される役割を整理し、自坊の法事の価値を点検します。
午後は、ご案内・準備・法事当日・アフターフォローの各場面で、施主のつまずきを順に確認しながら、改善策を具体化していきます。

使用するツールは二つです。
一つは「法事価値設計チェックリスト」で、案内、準備支援、読経・法話を含めた当日の運営、実務負担の軽減、アフターフォローなど、自坊の現状を構造的に点検するものです。
もう一つは「法事ご縁導線シート」です。施主が法事の前後で何を感じ、どこで安心され、どこで離脱されやすいのかを可視化していきます。ワークショップを通じて、自坊のチェックリストと「法事ご縁導線シート」を作り上げ、自坊に戻ってまず何から取り組むべきかが具体化されます。

また、ワークショップでは、様々なまいてら寺院における法事の事例もご紹介します。他寺院の事例に触れることで、「これなら自坊でも取り組める」という多くの気づきが生まれるでしょう。

ペア参加のおススメ

可能であれば、住職または副住職にあたる方と、法事を実務面で一緒に担っておられる方との「ペアでのご参加」をお勧めしています。既に数ヶ寺から、実際にペアでの参加申し込みがありました。

参列者にとっての法事の体験の質は、案内文の言葉、電話等の応対、当日の法要、事後のフォローといった実務の細部に左右される部分が大きいためです。同じ考え方を、寺内で共有できると、様々な取り組みに好影響があります。逆に寺内で共通認識を持てないと、法事を改善していくことも難しくなっていきます。
ペアでの同日のご参加が難しい場合は、別会場でのご参加も承りますので、お気軽にご相談ください。

現在確定している開催地は、横浜・名古屋・大阪・東京の四会場です。(各会場とも残り数席になっています)
秋以降の追加開催も検討していますので、今回は残念ながら日程が合わない場合や、上記以外の地域で「ぜひ近くで開催してほしい」というご希望があれば、お気軽にお声をお寄せください。前向きに検討いたします。

なお、本ワークショップの詳細・お申込みはご案内ページをご覧ください。

自坊の法事を、もう一度ていねいに見直してみたい。そうお考えの方と、ご一緒できれば大変嬉しく思います。

法事再興ワークショップ

井出 悦郎

(一社)お寺の未来 代表理事。東京大学文学部卒。人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、2012年に(一社)お寺の未来を創業

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