先日、初めての「お寺の未来・相談デスク」を名古屋で行ないました。
お寺の一室をお借りし、つかの間の相談デスクとなりました。
快く一室をご提供いただいたお寺さんには素敵なしつらえの空間をご準備いただき、感謝にたえません。
相談に来られたみなさんも、安心してお話しできたのではと思います。
この相談デスクは告知したところ、即座に予約枠が埋まってしまいました。
想像以上の要望があり、翌日にも増枠してご対応することになりました。
当日は、1時間半という限られた時間枠の中で、お話しを丁寧にうかがって課題を整理し、それぞれのお寺の実情に合った方策を具体化するという進め方をしました。
実際の相談事項は多岐にわたりました。
- 過疎地のお寺の再興を目指し、永代供養墓をはじめとした各種施策とともに、お寺の物語性を強調する情報発信を絡めることで、収入増加の道筋を具体化
- 多忙な住職が、真面目な性格も重なって、さらに多忙に。同宗派が多い地域の中で特長を出すために、やることを絞り込みながら、効果的な教化施策を具体化
- 相続問題が関係するお寺の閉じ方。現住職や家族の財産等も保全しながら、どうやったら円滑な閉寺を進めて行けるか、具体的なステップを具体化
- お寺の特長や様々な付加価値を整理し、新たに整備した納骨堂の販促計画を具体化
- 『まいてら』に興味があり、お寺のホームページとの連動のさせ方について、それぞれのツールの特長を活かした方向性を具体化
実施する前は、「すべての相談に解決策を提供できるだろうか」という不安がありました。
しかし、みなさんが前向きに解決策を求めて来られており、自然と実りある対話となりました。結果として創発的にたくさんのアイデアが生まれました。
終了後にいくつかのご感想もいただきました。
お話しを丁寧にうかがっていただき、当初ご相談しようと思っていたことと、まったく別のところに課題があることが明らかになり、驚きました。自分がいかに限られた視野で物事を見ていたのか、思い知りました。
とても幅広い視野で論理的に課題を整理していただくだけでなく、具体的なアイデアもたくさんいただき、事前の想像をはるかに超える収穫がありました。贅沢すぎる時間となり、心から感謝申し上げます。
(住職)
専門家や利害関係者でなく、フラットな視点から、それぞれの気持ちを尊重しつつ意見を集約いただき、一筋の光が見えました。
そして、なんだか私も父の心もまあるくなったような気がしました。
「話を聞いてくれる方がいる」「一緒に考えてくれる方がいる」、それだけで父も心強くなったのではないでしょうか。今までにあんなに短時間で、人に対して心を開いたことはなく、あのような父の表情を見ることができて、今後の希望が持てました。
また、井出さんの知識やコミュニケーションスキルは、これまでWEB上で拝見してきた私の井出さん像をはるかに超え、相談の内容以上の学びがありました。
(住職の娘)
今回の相談デスクは初めてのチャレンジでしたが、色々と気づきもありました。
- 仏教界には様々なコミュニティが誕生してきており、コミュニティによって解決される課題も多くある。一方で、コミュニティ・アプローチでは解決できない、個別で深刻な課題も多く存在し、相談デスクは秘匿性も含めて有効なアプローチになりうる
- 1時間半という時間でも、しっかりとお話しをうかがい、課題を整理することは可能。相談者から提供される情報が具体的であり、課題を解決したいという前向きな気持ちを持たれているほど、解決策の質が高まる
- 100キロ以上離れていても、わざわざ相談に来るお寺さんが少なくない。比較的恵まれている地域の東海圏であってもそのような状況ということは、全国にはまだまだ相談需要が大きいと考えられる
相談デスクは、お寺の未来としての主要な事業ではありませんが、一つの社会貢献として、機会を見つけて時々各地で開催していこうと思います。
次の開催はあなたの地域かもしれませんね。