マイナンバー制度がお寺に与える影響とは!

河村照円

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[文・河村照円/真言宗寺院住職・税理士・行政書士]

最近、あちこちで「マイナンバー制度」という言葉を耳にする機会が増えてきましたね。
このマイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」とか「国民総背番号制度」などと呼ばれています。
国民ひとりひとりに番号が付与されて、その番号で国が役所間にまたがる情報を把握できるようになるのです。

マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」とも呼ばれているように、最初は社会保障や税金の分野から利用が始まりますが、将来的には金融や医療の分野にも拡大され、膨大な個人情報を国が把握できるようになると言われています。
ただ単に番号が付与されるだけでなく、国が国民の個人情報を網羅していく制度です。
1つの番号によって、その個人がいつどこから収入を得ていて、今どれだけの通帳残高があり、引っ越しの履歴や病歴など、個人のプライバシーまで全部筒抜けとなる時代が将来やってくるのです。

そしてマイナンバーは、住職や副住職、寺族の「個人」だけでなく、「宗教法人」にも付与されます。
政教分離や公益性によってさまざまな情報開示の保護を受けてきた宗教法人ですが、将来的にはお寺の預金情報も筒抜けになっていく予定です。

さらにマイナンバー制度が始まることによって、社会保険への未加入法人が浮き彫りになると言われています。
宗教法人といえども住職に給料を支払っていれば社会保険への加入が義務。社会保険に加入すればお寺の人件費の負担は約3割増えるので、現在、収支がぎりぎりで運営しているお寺にとっては死活問題です。

お寺にも番号が付与され、個人にも番号が付与され、お寺は給料や報酬を支払った人のマイナンバーを集める義務が発生します。
同時に守秘義務も課され、その番号を漏えいしてしまった場合には罰則も用意されています。

詳しい部分まではあまり報道されていませんが、実はしっかりと準備をしておかないと、個人にも組織にも甚大な影響を及ぼしかねないマイナンバー制度。
今年の10月から番号が届き、来年1月から施行されます。
もう間もなく始まるのです。

国からはまだ完全な情報が発表されていませんが、お寺を運営していくうえで「知らなかった」では済まされない制度ですので、ぜひこの機会に学んでみてください。

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河村照円

税理士・行政書士の資格を持つ住職。24歳の時に父である先代住職が亡くなり、相続を経験する。現在はその経験から相続にまつわる相談を多く受けている。読経の声が良い、話を親身に聞いてくれる、などの評判。

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