[文・河村照円/真言宗寺院住職・税理士・行政書士]
前回は、税務調査の入り口のお話を書かせていただきました。
税務調査といえばまだ「ガサ入れ」のイメージが強いのですが、実際のところは、穏やかな口調で鋭い質問を投げかけ、その中から問題点を見つけていく問答です。
調査官は疑うのが仕事なので、曲がった意見を投げかけてくることもあります。
住職さんの中には好戦的な対応をする方もいらっしゃいます。
しかし、相手も人間です。怒りの刃は相手の感情を刺激するとともに、自らの勘定にまで影響することも。
こういった場面を見るたび、税務調査の現場にも「慈悲の心」が必要だといつも感じます。
調査官は「疑うのが仕事」という立場を認めてあげないと、「すべてにおいてケチをつけてくる嫌な人間」と捉えてしまいます。
ここで感情論になれば、税務調査は長引くばかり。
といっても、調査官の言い分をすべて認めるというわけではありません。
解釈の違いは当然出てきますので、感情ではなく、その「論点」について議論をするのです。
ほとんどの調査官は、寺院業界のことをよく知りません。
なので、私たちが詳しく教えてあげる、そのようなイメージで対応されると良いと思います。
それでも勝手に本堂内を調べるような調査官がいた場合には指摘をすることができます。
宗教法人法には「税務調査のときには、宗教上の特性や慣習をちゃんと尊重してくださいね」と書かれているのです。
税務調査という国家権力を振りかざしても、勝手に本堂内に入ってはいけないのです。
税務調査はこれから秋にかけてシーズンを迎えます。
秋の夜長は、溜まってる帳簿の整理にぴったり!かも。
(前編はこちらから)
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