これからの石材店に求められること

井出 悦郎

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最近、石材産業に関わる方々からのご相談が増えています。
先日のエンディング産業展2019で、主に石材店の方々を対象にお話しする機会をいただいたので、その資料も活用して考えをまとめます。

まず、石材店の経営規模によって色々と悩みが異なると感じます。
例えば個人(&家族)で営まれている方は、固定費が低いので、いくつかの出入りする懇意のお寺があれば、字堀やクリーニング等の細かい依頼と、以前ほどではないにせよ時々注文がある新墓石建立によって継続的に事業を営むことができます。

また、それなりに資本力があり、従業員を相応に抱える石材店は、新しいタイプの墓地・墓石の企画開発や相応の広告宣伝力によって、時流に適合していくことを目指されています。相応の固定費があるので経営は簡単ではないでしょうが、資金力を背景として、巧みに時流適合されて経営されている石材店もあります。

一方で、相対的に苦しさを抱えているのは、(家族経営ではない)従業員数名規模の石材店ではないかと感じます。
従業員がいるため固定費はそこそこありながら、墓石が売れない時代において、大きな収入源となる領域がなかなか見つけられない。投資余力もないため、大きな開発もままならない。未来になかなか希望は持てない状況かもしれません。

収益源としての「上流(創る)」か「下流(つなぐ)」の方向性

まず、「葬儀・お墓に関する生活者の意識調査」もふまえ、お墓を取り巻く社会環境について端的に整理します。

参考:葬儀・お墓に関する生活者調査より - Vol.2 お墓編

このような社会環境もふまえ、石材店の事業環境を見てみます。

時流適合するための新たなお墓の企画・開発などの上流か、墓守を収益化していく下流に収益構造が移っていくという、スマイルカーブの事業環境に変化していると言えるでしょう。
バリューチェーンを分解してみると、次のように整理できます。

これからは、今まで墓石建立などを通じて培ってきた強みを、上流か下流のどちらかに活かしていく方向性が求められるでしょう。
「創る」と「つなぐ」それぞれのポイントを整理します。

相対的には、「つなぐ」の下流で新たな収益源を見つけていくことのほうが取り組みやすいと考えられますし、特に石材の良さや性質を知り尽くす石材店だからこそできる墓守を、収益化につなげていくことはとても重要な取り組みになるでしょう。
墓守を収益化していく具体的事例がたくさん生まれると、業界としても元気が出ると考えます。

墓じまいではなく「お墓の仕上げ方」という提案力

改葬件数が10万件を超える中、お墓のあり方についてどのように檀信徒に提案していくべきか、お寺は悩んでいます。
そのようなお寺に寄り添うには、石材店も「創る」の上流にチャレンジすることが求められます。従業員に求められる能力も従来とは異なるものが求められますが、提案力がない組織に未来は開けませんので、経営者・従業員が一体となってチャレンジしていただきたい領域です。

私見ですが、これからは「家族のお墓の仕上げ方」の時代であり、家族それぞれにお墓が最後に落ち着く形を見つけていく時代です。そのためには、家族の状況に応じて、檀信徒がお寺の中のいくつかのお墓(納骨堂)の形態を選択でき、循環していけることが理想であり、その仕組みを整備することが求められます。
お寺と長年ご縁を温めてきた石材店には、ぜひお寺と一緒に悩みながら、「お墓の仕上げ方」を可能にする寺院墓地を提案していくことが重要になると考えます。

墓守の収益化に加えて、「お墓の仕上げ方」の提案力。
この2つの方向性に、石材店の未来はあると考えます。

※寺院への提案にあたっては「住職の教科書」は参考になります。石材店の方々もぜひ手に取っていただければ幸いです。

「葬儀・お墓に関する生活者の意識調査」のご購入はこちらです。

井出 悦郎

(一社)お寺の未来 代表理事。東京大学文学部卒。人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、2012年に(一社)お寺の未来を創業

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